アキ・カウリスマキ監督(1957-)のシリーズは、庶民の視点で不況による失業からの回復や不器用で素朴な恋愛コメディをテーマにしています。
言葉ひとつひとつや態度に余計なやり取りは見られず綿密に構成されている様子で、庶民生活のどこかにありそうなシーンもあれば、映画ならではのシュールな内容も盛り込まれています。間をとる空気は絶妙で要所要所で小さな笑いを誘います。不況といっても物質面で決して貧相なものばかりでなく、使われている衣類や家具、小物は上品で珍しいものもあります。
シアター内から上映年の時代背景やフィンランド文化を垣間見ることが出来ます。バーで飲んでいるシーンが度々ありますが、そこで流れている選曲が古風で深みのある渋い唄ばかりです。
また、監督は日本の影響を受けています。作品の数々は、社会の暗闇に笑いと喜びと共に、小さくとも明るく暖かい光を灯し希望を与えてくれます。すごく面白い!という訳ではない淡々とした物語ばかりですが癖があり監督の作品は惹かれてしまいます。
FALLEN LEAVES (邦題 枯れ葉)2024 公式トレーラー(英字幕)
枯れ葉 あらすじと感想
舞台はフィンランド首都ヘルシンキ。アルコール依存の労働者ホラッパとスーパーマーケットで働くアンサ。ある日、2人はカラオケバーで出会う。
互いにそれなりの人生を歩んできた男女のラブストーリー。作品にお馴染みのどこか冴えない様子の男女の複雑な心境を言葉で表現するのは簡単ではありません。選ばれた言葉と態度の表裏がスクリーンから感情が浮き上がってくる印象でしょうか。アンサの頬とウィンクがピクッと動く笑みがポイントでした。80分ほどで物語はあっさり完結しました。
挿入歌「Syntynyt suruun ja puettu pettymyksin (悲しみに生まれ、失望に身を纏う)」は悪天候、暗闇、幻滅などのイメージが歌詞に盛り込まれ、悲壮感から諦観思想やニヒリズム、自虐ネタが好みであればツボにはいるかもしれません。ストーリーに溶け込んだ優しく語りかけるバラードで、何処かの街頭で流れていそうな親しみのわく楽曲であります。
枯れ葉 俳優インタビュー(英訳)
事実に基づいて映画の詳細を面白ろおかしく語っています。
アキ監督他作品。
希望のかなた、浮き雲、街のあかり、パラダイスの夕暮れ、真夜中の虹、過去のない男など。
本日もお読み頂き有難う御座いました。